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科学博物館で科学コミュニケーション修行 [科学と社会]

 1年以上前になるが、科学館でインターンや実習をすることで、研究者を目指す理系学生にサイエンスコミュニケーションのスキルを身につけさせるような試みができないかと、ある科学館関係者に提案したことがある。専業としてのサイエンスコミュニケーター育成も大事だが、それと同じくらいサイエンスコミュニケーション能力を持った研究者を育てることも重要だと感じていたからだ。さらに言えば、スキルは別になくても良い。未来の研究者に、若いうちからサイエンスコミュニケーションの意識を植え付けることが大切だと思ったのである。スキルに関しては専門のサイエンスコミュニケーターがある程度サポートすることもできるが、意識のないものは仕方がない。現状では大半の科学者にとって、サイエンスコミュニケーションなんて雑用の一つに過ぎないのだ。社会に伝えるまでが科学者の仕事なのだというくらい意識を高めるためには、やはり学生のうちからサイエンスコミュニケーションの重要性を体感するべきだと思う。
 さて、そんななか上野の国立科学博物館が面白い試みをするようだ。

国立科学博物館:大学生は入館無料! 単位認定も検討
 国立科学博物館(東京都台東区)は、大学生の無料入館制度をつくった。会員大学の学生が対象で、博物館での活動を単位として認定する制度も検討している。科学への関心が若い世代で薄れていることを受け、来館者の増加と科学分野の人材養成を狙う。(中略)

理系学生に博物館を「修業の場」として使ってもらうことも検討中だ。

 同館の研究者と来館者との対話イベントを手伝ったり、展示の前で質問に答える「サイエンスコミュニケーター」体験を通して、科学の魅力を社会に語りかける資質を養う。こうした経験が単位認定されるよう、大学と個別に協定を結ぶ。豊富な資料を使った授業の実施も計画している。(以下略 ・毎日新聞 2005年5月8日 3時00分)

 毎日の元村さんの記事だ。利用者増のため、あるいは来館者の裾野を広めるために無料あるいは割引にするということは良くあること。ここで面白いのは、「科学の魅力を社会に語りかける資質を養う」場として利用するというところだ。単位認定に関しては、教職課程や学芸員養成コースでないとなかなか難しいかもしれないが、がんばって理系学生を集めてほしい。大学の授業の一環にならずとも、たとえば月2回の半年コースや、夏休みの1週間コースなどを設けて、科学コミュニケーション実践講座の修了認定をすればよいだろう。はじめはそんなの誰も耳を傾けないだろうが、5年後、10年後に、このような経験が科学者のスキルとして評価されるようになるかもしれない(ならなきゃだめっすよ)。それこそ、学振の自己評価欄の「特色ある学外活動」のようにである。
 東京大学物理学専攻の科学コミュニケーションの授業や、お茶の水女子大学のサイエンス&エデュケーションセンターなど、新たな動きが次々と出てきている。これからも注目だ。

 僕らも、いくらでも連携しますよ!  


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