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東大でランチセミナー:ノーベル賞受け 学生有志ら [科学と社会]

 ノーベル物理学賞、化学賞の日本人同時受賞を受け、さっそく東大では学生有志によるランチセミナーが開かれた。
 開催したのは、東大理学系研究科の横山広美準教授と学生・若手有志が立ち上げた団体”0to1”。土曜日などを使って、アウトリーチ活動や科学コミュニケーションについて考えるかたわら、最近のサイエンスの動向やお互いの研究について発表するランチセミナーを開いている。今年のノーベル賞を受賞したのは、素粒子物理学の研究者と緑色蛍光タンパク質GFPの発見者ら。そこで、理学研究科で素粒子論を研究している大学院生、GFPを使って研究している大学院生らが、ノーベル賞の業績を紹介し、さらに自分たちの研究とのつながりについて解説した。
 物理学賞を受賞した小林氏は毎日新聞の取材に対し、「(独創的な研究をするには)いろんな可能性を用意することが重要です」と語っている。同席した江崎玲於奈氏も「自由闊達(かったつ)な雰囲気が必要ですね。いろんな分野の話し合いも大事でしょう」と同調した。同じ理系といっても、隣の研究室が何をやっているのかなかなか分からないほど、最先端科学は細分化されている。0to1のランチセミナーのような場こそが、いま求められているのだろう。
 ランチセミナーの様子は、0to1のブログで見ることができる。


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ノーベル賞におもうことなど [科学と社会]

 今週はノーベル賞ウィークでした。日本人および日本出身者が、合計4人も受賞されたということで、素直に喜びたいと思います。
 基礎研究に光があたったというのはたいへん嬉しいことではありますが、ノーベル賞を取ったから「加速器の誘致を」とか「予算を」という論理はいかがなものかと思います。むしろノーベル賞を取らなければ意義を社会に訴えられない科学研究っていったいなんなんだろうと感じます。ノーベル賞を取った、何十年前の業績だけでなく、いま進んでいる現在進行形の研究にももっと注目してほしいと感じます。小林益川理論だけでは説明ができない謎がまだまだ残っていて、日夜頭をひねっている研究者がたくさんいるのです。GFPに取って代わる、次世代のプローブを作ろうと、さまざまな実験がおこなわれています。
 「受賞よりも、自分の理論が実験で実証されたときの方が嬉しかった」益川先生のこの言葉は、科学者としての正直な気持ちだと思います。

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博士学生のインターンシップ [科学と社会]

 最近またキャリア問題について考えていたところ、こんなニュースが飛び込んできた。

文科省、即戦力の博士養成・500人を就業体験に派遣
 文部科学省は2008年度から産業界と連携し、理系の博士課程の学生やポストドクター(博士研究員)を企業へ長期間派遣する「博士版インターンシップ」を始める。コミュニケーション能力や商品開発など事業につながる知識を獲得してもらい、即戦力の研究者を育成する。(以下略・日経新聞

 「文部科学省」が派遣するとのこと。かなり踏み込んだ事業である。記事によると、企業でも”使える”博士を育成しようという試みのようである。しかし僕は、企業に博士の学生やポスドクを人材として認識してもらうために、ためしに使ってみてもらうという意味のほうが大きいように思う。いくら長期間派遣するといっても、それだけで博士が”使える”人材になれるとも考えにくい。むしろ、強制的にでも企業に博士課程の学生やポスドクを受け入れてもらい、”食わず嫌い”を解消してもらうことを目指すのが良いだろう。
 しかし問題も多い。とくにインターンに参加する当事者にとっては、博士課程やポスドクの期間における「長期間」というのは大きい。インターンシップの分だけ研究が滞るわけだから、研究を進めたい人にとっては利用しにくい制度だ。また実際に、研究の大きな戦力でもある博士の学生やポスドクを、長期間手放しても良いと考えるラボはどのくらいあるのだろうか。特に優秀な人材ほど、インターンになど行ってほしくないと思うだろう。
 はじめから企業に行きたい博士の学生にはよい試みかもしれないが、うまくいくのか疑問である。余った博士やポスドクをどうにかして企業に押し込もうとする苦肉の策のようにも思えるが、それは考えすぎだろうか。

 記事にもあるが、企業が博士を敬遠する理由として、「コミュニケーション能力の欠如」や「協調性の欠如」が挙げられている。だがこれらの能力は、アカデミックにいたとしても必要なもののはずだ。ならばむしろ企業インターンシップに頼るのではなく、大学がこれらのスキルを身に付けさせる教育プログラムを整えるべきではないだろうか。

 どんな小さな研究だとしても、企画立案から結果の評価、プレゼンテーションまでを行う必要があり、仕事の上流から下流までの多くを一人で経験できるはずである。そこにはどんな職業にも共通の仕事の仕方があるはずだ。問題はそれを意識するかどうかだ。ただルーチンワークとして研究をこなしていくだけでは、何も得ることはない。研究生活を顧みて、”仕事術”を身に付けさせるように意識させることこそが、”使える”人材を育ててる近道ではないだろうか。


大学院改革:博士の多様なキャリアパス [科学と社会]

 中央教育審議会の報告書、「新時代の大学院教育-国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて-中間報告」が発表された。論文博士廃止の方針も提案しているということで、ニュースになっている(読売新聞の記事参照)。
 人材育成という観点から、博士号取得者のキャリアについても、随所に言及が見られる。

○ 博士課程修了者のキャリアパスとして、従来、主として想定されていた産学官での研究・教育機関のみならず、たとえば、企業経営、ジャーナリズム、行政機関、国際機関といった社会の多様な場での活躍をも想定していくことが適当である。
○ このような状況を踏まえ、理工農系大学院は、研究者養成を主たる目的とするのか、高度な研究能力を持って社会に貢献できる人材養成を主たる目的とするのか、およそ専攻単位程度で目的と教育内容を明確にすることが必要である。(適当に抜粋)


 人材の流動化、キャリアパスの多様化は、あちらこちらで言われているが、じゃあ実際大学院ではどうするのという疑問が生じる。インターンシップの奨励だの、マネジメントも学ぶだの、いろいろなことが言われているが、実際研究に追われている博士の学生にはそこまでの余裕がないのが実情ではないだろうか。
 その点、大学院の目的を「研究者養成」と「高度な研究能力を持って社会に貢献できる人材養成」に大きく分けて明確化せよという方針は興味深い。もちろん両者の間を行き来できるような工夫は必要だが、大学院進学=研究者養成という図式からの脱却を目指しているのだと考えられる。
 かなり分厚い報告書で、ぜんぜん読みきれていないのだが、気になったのですこしだけ書き留めてみた。

(追記1)
 となると博士号ってなんじゃらほいという気がしてくる。「研究者養成」コースで取得した博士号と、
「高度な研究能力を持って社会に貢献できる人材養成」コースの博士号では、研究という部分ではそれなりに差があるような気がしてならない。むしろ「高度な研究能力を持って社会に貢献できる人材養成」コースは、いわゆる普通の修士課程2年+専門職課程(MOT、知的財産、科学技術政策、科学技術ジャーナリズム、サイエンスコミュニケーションなど)数年(”博士”かどうかは別)という形にしたほうがいいのではないだろうか。もしくは、本気でメジャー・マイナー制度を整えるか。

(追記2)
 なんて考えていたら、パブリックコメント募集中でした。書こうかなと思うことはよくあるが、そんな暇がないのも事実。


ガリバースケール [科学と社会]

 家に帰ってふとテレビをつけたら、「世界一受けたい授業」にJSTの永井さんが出演していた。永井さんは、科学教育やサイエンスコミュニケーションのワークショップでお会いしたり、サイエンスライティングの講座でもお世話になった方である。今回取り上げられていたのは、永井さんの著書「地球がもし100cmの球だったら」

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未来館でインターンシップ [科学と社会]

「科学博物館で科学コミュニケーション修行」で、国立科学博物館の取り組みについて書いたが、日本科学未来館も負けてはいない。インターンシップを行うという。

(略)友の会の運営業務やイベントサポートなどの実践を体験し、運営のノウハウを学び、実際に来館者に接することで科学コミュニケーションのあり方やスタッフとの連携の重要さを現場で感じることが出来る友の会運営の職業体験を希望するインターン生を募集いたします。
業務内容
1) 友の会イベントサポート(打ち合わせ、準備等必要に応じて出勤:通常月3回程度)
2) 日報およびイベント実施後のアンケート集計および報告書作成
3) 来館促進・友の会入会促進業務サポートおよび改善案提出
4) インターン生企画による友の会イベント実施(冬期)
採用人数 3名
採用日 2005年7月~2006年3月末 (活動内容により応相談)
応募資格 理工系専攻の大学3年生~院生 または科学コミュニケーションに興味関心のある大学3年~院生
ホームページより抜粋)

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日本科学技術ジャーナリスト会議でサイエンスカフェ [科学と社会]

 このブログで何度も取り上げているように、サイエンスカフェの取り組みが、あちらこちらに広がっている。聴衆も気軽に議論に参加できる形式が新しいのだろう。

 新聞を中心に科学ジャーナリズムに関わる人たちが集まっている日本科学技術ジャーナリスト会議も、サイエンスカフェに注目しているようだ。来週開かれる総会のあとに、サイエンスカフェならぬ「サイエンスワインバー」を開く予定だ。日経新聞の中村雅美さんが話題提供をしたのちに、聴衆を含めて活発な議論をするということだ。

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博士が100人いる村 [科学と社会]

 読売新聞とヤフートピックスのおかげで、余剰博士問題が物議をかもし出しているようだ。僕もかなりいい加減なことしか書かなかったので、もう少しまともな意見を書いておこうかなと思っていたところ、今朝、SciComニュースを読んで、こんなサイトがあることを知った。

「博士が100人いる村」である。

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科学博物館で科学コミュニケーション修行 [科学と社会]

 1年以上前になるが、科学館でインターンや実習をすることで、研究者を目指す理系学生にサイエンスコミュニケーションのスキルを身につけさせるような試みができないかと、ある科学館関係者に提案したことがある。専業としてのサイエンスコミュニケーター育成も大事だが、それと同じくらいサイエンスコミュニケーション能力を持った研究者を育てることも重要だと感じていたからだ。さらに言えば、スキルは別になくても良い。未来の研究者に、若いうちからサイエンスコミュニケーションの意識を植え付けることが大切だと思ったのである。スキルに関しては専門のサイエンスコミュニケーターがある程度サポートすることもできるが、意識のないものは仕方がない。現状では大半の科学者にとって、サイエンスコミュニケーションなんて雑用の一つに過ぎないのだ。社会に伝えるまでが科学者の仕事なのだというくらい意識を高めるためには、やはり学生のうちからサイエンスコミュニケーションの重要性を体感するべきだと思う。
 さて、そんななか上野の国立科学博物館が面白い試みをするようだ。

国立科学博物館:大学生は入館無料! 単位認定も検討
 国立科学博物館(東京都台東区)は、大学生の無料入館制度をつくった。会員大学の学生が対象で、博物館での活動を単位として認定する制度も検討している。科学への関心が若い世代で薄れていることを受け、来館者の増加と科学分野の人材養成を狙う。(中略)

理系学生に博物館を「修業の場」として使ってもらうことも検討中だ。

 同館の研究者と来館者との対話イベントを手伝ったり、展示の前で質問に答える「サイエンスコミュニケーター」体験を通して、科学の魅力を社会に語りかける資質を養う。こうした経験が単位認定されるよう、大学と個別に協定を結ぶ。豊富な資料を使った授業の実施も計画している。(以下略 ・毎日新聞 2005年5月8日 3時00分)

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サイエンスカフェ考 [科学と社会]

 サイエンスカフェについて書いたところ、ジャーナリストのKAYUKAWAさんがコメントを下さった。確かにYahooかなんかで「サイエンスカフェ」と検索すると、このブログがかなり上位に引っかかるようなので、見つかったのも当然かもしれない。いつも思いつきで”とっさに”書き留めている日記なので、思うところの半分もかけていないことが多く恥ずかしいのだが、せっかくなのでサイエンスカフェについて思うところを記しておきたいと思う。

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