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未来館でインターンシップ [科学と社会]

「科学博物館で科学コミュニケーション修行」で、国立科学博物館の取り組みについて書いたが、日本科学未来館も負けてはいない。インターンシップを行うという。

(略)友の会の運営業務やイベントサポートなどの実践を体験し、運営のノウハウを学び、実際に来館者に接することで科学コミュニケーションのあり方やスタッフとの連携の重要さを現場で感じることが出来る友の会運営の職業体験を希望するインターン生を募集いたします。
業務内容
1) 友の会イベントサポート(打ち合わせ、準備等必要に応じて出勤:通常月3回程度)
2) 日報およびイベント実施後のアンケート集計および報告書作成
3) 来館促進・友の会入会促進業務サポートおよび改善案提出
4) インターン生企画による友の会イベント実施(冬期)
採用人数 3名
採用日 2005年7月~2006年3月末 (活動内容により応相談)
応募資格 理工系専攻の大学3年生~院生 または科学コミュニケーションに興味関心のある大学3年~院生
ホームページより抜粋)


 仕事の内容や就業時間からすると、研究者志望の学生がスキルを身につけるために参加するというのには少し重すぎる感じがする。やはり、職業としてのサイエンスコミュニケーターの養成を考えているのだろうか。ここでも注目すべきなのは、「理工系専攻」の学生を募集しているところだ。それから、「インターン生企画による友の会イベント実施」というのも面白い。イベント企画・運営を経験させようというのだ。
 だが少しうがった見方をすると、次のようなことが気になる。未来館は日ごろから理工系学生を、ボランティアやインタープリターとして受け入れている。しかもボランティアの人たちの手によるイベントも企画されており、サイエンスコミュニケーターの養成の場にもなっているように思う。それと今回のインターンシップ、どこがどのように違うのだろうか。インターンとして仕事を与えてやらせてみるのと、勝手に企画を立ててしまうボランティアに適宜アドバイスしていくのと、どちらがよい「学び」の場なのだろうか。優劣をつける問題ではないが、気になるところである。
 僕は最近、いっそのこと科学コミュニケーション専攻の専門職大学院でも設立してしまったほうがよいのではないかとも思っている。インターンにしろ、ボランティアにしろ、時間的にも限界がある。それなら、本格的にサイエンスコミュニケーター養成の大学院を作って、そこで実践させるのがよいのではないだろうか。もちろん他専攻と協力して、「科学」も学べるようにする(京大の加藤和人先生のところは、どういう仕組みなのだろうか?)。
 それか大学も含めてきちんとダブルメジャーのサポートをしないと、いくらインターンなどの取り組みを始めても、普通の理工系学生にとってはかなり敷居が高いような気もする。

 ともかく、去年、今年で、ずいぶんと科学コミュニケーター養成の動きが出てきた。科学館などだけでなく、大学も動き出している。となると、あとは就職先の問題だ。ブームに乗ってたくさん養成したものの行く先がない、というのでは余剰科学コミュニケーター問題を引き起こしてしまう。そこまで過保護になる必要はあるのかという議論もあるだろうが、後押しするならば就職先の開拓もしていくべきだと思う。


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Juan

はじめまして。非常にまじめで控えめな方で好感をもって読まさせていただいています。私もポスドクですが正直日本ではしたいとは失礼ながらおもっておりません。別ログでその扱いがとんでもないとおどろいてしまう内容もありました。http://d.hatena.ne.jp/geia/こんなもんなんですかね。日本は。私にとっては、やっぱり国外にでてよかったと思う今日このごろといったところでしょうか。
by Juan (2006-05-13 23:39) 

けけみ

Juanさま はじめまして。ひとくちにポスドクといっても、大学や研究所など所属する場所によっても大きく違うと思います。雇用形態もいろいろあるようですし。
ところで、知人が運営しているホームページ「博士の生き方」http://www.hakasenoikikata.com/では、ポスドク問題を含めいろいろが議論がされています。国外のポスドク事情などもお知らせいただけると幸いです。
by けけみ (2006-05-14 16:42) 

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