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大学院改革:博士の多様なキャリアパス [科学と社会]

 中央教育審議会の報告書、「新時代の大学院教育-国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて-中間報告」が発表された。論文博士廃止の方針も提案しているということで、ニュースになっている(読売新聞の記事参照)。
 人材育成という観点から、博士号取得者のキャリアについても、随所に言及が見られる。

○ 博士課程修了者のキャリアパスとして、従来、主として想定されていた産学官での研究・教育機関のみならず、たとえば、企業経営、ジャーナリズム、行政機関、国際機関といった社会の多様な場での活躍をも想定していくことが適当である。
○ このような状況を踏まえ、理工農系大学院は、研究者養成を主たる目的とするのか、高度な研究能力を持って社会に貢献できる人材養成を主たる目的とするのか、およそ専攻単位程度で目的と教育内容を明確にすることが必要である。(適当に抜粋)


 人材の流動化、キャリアパスの多様化は、あちらこちらで言われているが、じゃあ実際大学院ではどうするのという疑問が生じる。インターンシップの奨励だの、マネジメントも学ぶだの、いろいろなことが言われているが、実際研究に追われている博士の学生にはそこまでの余裕がないのが実情ではないだろうか。
 その点、大学院の目的を「研究者養成」と「高度な研究能力を持って社会に貢献できる人材養成」に大きく分けて明確化せよという方針は興味深い。もちろん両者の間を行き来できるような工夫は必要だが、大学院進学=研究者養成という図式からの脱却を目指しているのだと考えられる。
 かなり分厚い報告書で、ぜんぜん読みきれていないのだが、気になったのですこしだけ書き留めてみた。

(追記1)
 となると博士号ってなんじゃらほいという気がしてくる。「研究者養成」コースで取得した博士号と、
「高度な研究能力を持って社会に貢献できる人材養成」コースの博士号では、研究という部分ではそれなりに差があるような気がしてならない。むしろ「高度な研究能力を持って社会に貢献できる人材養成」コースは、いわゆる普通の修士課程2年+専門職課程(MOT、知的財産、科学技術政策、科学技術ジャーナリズム、サイエンスコミュニケーションなど)数年(”博士”かどうかは別)という形にしたほうがいいのではないだろうか。もしくは、本気でメジャー・マイナー制度を整えるか。

(追記2)
 なんて考えていたら、パブリックコメント募集中でした。書こうかなと思うことはよくあるが、そんな暇がないのも事実。


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