ああ悲しきかなナンバー１世代

　友人が日記に、

「ナンバー１よりオンリー１」っていう言葉が嫌い

と書いていた。「槇原のあの曲が流行する前から使ってた人がいるわけない」のに、みんながみんな口にするからだそうだ。
　僕も、そう思う場面がよくある。会社のちょっと偉い人の講演とか、教育関係のシンポや懇親会で、「ナンバー１よりオンリー１」だとか、さも得意げに言う人がいるのだ。せっかくいい話かと思って聞いていたのに、急に槇原かよ・・・という失望とでも言えばいいのだろうか。どうせなら、「どうしようもない君にも天使が降りてきますよ」とか、「冬がはじまるよ」とか「もう恋なんてしないなんていわないよ絶対（どっちなんだ、いったい？）」とか言ってほしい。「オンリー１」とか言っておきながら、みんな同じことを言うのでほんとうに滑稽だ。
　話を戻すと、「ナンバー１よりオンリー１」と、さも素晴らしいことであるかのように語っているのを聞くと、「あぁ、ナンバー１世代なんだな」と一種の哀れみすら感じてしまう。追いつけ追い越せ、会社のために、とにかくナンバー１になるのが目的だった古き時代。バブル崩壊、冷戦終結、リストラの嵐、そして数々の神話の崩壊・・・、そこで突然聞こえてきた「ナンバー１よりオンリー１」。彼らは、この言葉に癒されたのかもしれない。
　会社も辞めた。娘はぐれた。妻は口も聞いてくれない。父さんは、いままで家庭を顧みず、会社のために、ナンバー１を目指してがんばってきたんだ。でもこの仕打ちだ。そう、なにもナンバー１にならなくてもいいんだな。はじめからオンリー１なんだから。父さんはな、父さんはな、父さんなんだぞー。うちの父ちゃんは、日本一ー・・・。おそ松くん音頭とは、もう時代が違うんだ。ふんっ、日本一なんて・・・。
　自分で書いておいて、泣けてきた。
　でも、僕なんかがおもうのは、「オンリー１」って当たり前じゃないっすか。そんな声を大にして言うことでもないだろう、と。ああ、悲しきかな、ナンバー１世代。
　しかーし、そんなナンバー１の時代にありながら、「オンリー１」って言い続けた人がいるんですよ。その名も、谷村新司！　もう記憶があやふやなのだが、谷村さんは名曲「チャンピオン」にかけた思いを語る中で、「ナンバー１よりオンリー１」と言ってたのです。直接言わないで、ああいうストーリーを作って歌にするのが、やはり真のシンガーソングライターだ。アリスを止めて、ソロになったのも
「ナンバー１よりオンリー１」との気持ちからだという。まさにこの言葉は、谷村さんの音楽人生そのものなのだ。
　言葉だけ「オンリー１」とかいうよりも、ぜひとも「チャンピオン」を聞くべきだ。

私だけでしょうか

「ナンバー１よりオンリー１」ときくと
槇原よりも、谷村新司が思い浮かぶ

私だけ・・・

以上、寝起きのだいたひかるでした。

コメント 4

チャンピオンいいですねぇ。

それはそうと、Only Oneって、そのカテゴリの中の
Number Oneじゃないとなれないですよね。
つまりは、Only OneはNumber Oneなんです。

そのことを自覚せずにOnly One言うのは確かに
うるさいですね。
by garmy at k346 (2005-05-12 21:59) 

谷村さんの話について、友人は、
「けけみ氏が私と同じ年齢であるというのは、やっぱりウソだと思います。」
と日記でコメント。

こうみんなに言われると、自分でも分からなくなってくるぞ。
by けけみ (2005-05-14 07:41) 

はじめまして。
Aliceと申します。
いい話ですね。
by Alice (2005-06-24 23:12) 

けけみさんはじめまして！
Alice0001さんのところから、飛んできました。
私もアリス時代からのファンです。
記事の日付を見てびっくり!私の誕生日だったんです。
誕生日に谷村さんのことを語っている記事があったなんて
不思議なご縁を感じます。
また、遊びに来ますね。
by アラレ (2005-07-26 03:19)