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サイエンスカフェのシンポジウムに参加 [科学と社会]

▼STS Network Japanのシンポジウム「カフェ・シアンティフィーク―その現状と可能性―」@東大先端研 に参加した。名刺を作っていたりしたせいで、10分遅れで会場着。
▼今回一番面白かったのは、イギリスのカフェ・シアンティフィークの参加報告。なかには、客を呼び込むために科学カフェを始めたものまであると知ってびっくり。
▼今度、僕らが企画しているカフェ・サイエンスステーションについても5分ほど時間をもらって話させてもらった。へたっていたので、適当にこんなことを話した。

・ワンドリンク付き講演会ではつまらない
・一方向的な”アウトリーチ”ではない
・学生が話すので、質問の答えをはぐらかしたりしないし、よいコミュニケーションができるはず

・学生をスピーカーにすることによって、サイエンスカフェが将来の科学者を育てる場にもなるはず、しいては、未来のサイエンスを社会/地域が育むことにつながるのではないか
(サイエンスカフェの目指すべきところが、これだけだとは少しも思っていないのだが、誰も指摘しなかったのが不満だっただけ)

▼PUSだとか欠如モデルだとか、まあいろいろな話はあるが、僕の知る限りでは、いまだに「科学→社会」という一方向的な矢印しか見えない気がするのだ。サイエンスカフェで、科学者と市民が対話しましたよ、議論しましたよ・・・というのは、たしかに”双方向性”ということはできる。普通の講演会スタイルでは、質問に対して科学者が無難に答えるだけで、なんの面白みもない。その意味では、サイエンスカフェのスタイルは、議論を活発にし、交流を盛んにする”双方向性”のある仕組みとなっていることは間違いないだろう。
▼でもそれだけなのだろうか、と僕は思う。その場の双方向性というのは、あくまでも参加した科学者と市民との間の矢印である。広く科学と社会との関係を考えるのなら、「科学者コミュニティー」と「社会」の間の矢印をもっと意識すべきだろう。「社会→科学者コミュニティー」の方向のフィードバックが何もなければ、ただの科学技術理解増進活動の一形態に過ぎないと思う。「社会→科学者コミュニティー」のメリットが見出せれば、サイエンスカフェはサイエンスコミュニケーションのよいモデルになりうるだろうし、なにより科学者も乗り気になるんじゃないだろうか。

▼サイエンスカフェをどう評価するかという議論も出たが、目指すところがいまいちはっきりしないので、なんともいえないと思った。カフェに参加する「科学者」と「市民」というアクターだけで済ますなら、はっきり言って「顧客満足度」がすべてだろう。毛利さんを生で見た、僕も宇宙飛行士になりたいな、それでもOK。牛肉ってどうなのって、専門家と話ができた、日ごろの疑問も質問できた、それもOK。科学者にとっても、象牙の塔の中では気づかないような意見や視点に触れることができ、今後の研究に生かせるかも、それもOK。でんじろう先生が静電気ビリッ!でもOKだ。双方向性や参加型であること、などは満足度を上げるための工夫になる。

▼科学と社会との関係を考える上で、サイエンスカフェがどのような役割を果たしているか。これはもっと長期的に見ないと分かんないんじゃないかな。

▼シンポジウムのあとは、下北沢で懇親会。名前だけはどこかでお見かけした先生方と、話すことができて楽しかった。でも、STSってまだなんだかよく分からないのですよ。

*感想やら意見やら、ごちゃまぜですが、サイエンスカフェの話は面白いので、時々書くことにします。


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KAYUKAWA

おお、あなた、こんなところにいましたか。小生も感想を書いておきましたので、ご参考までに。
http://www2.diary.ne.jp/user/91038/
by KAYUKAWA (2005-05-05 14:26) 

けけみ

KAYUKAWAさま
見つかっちゃいました。コメントどうもありがとうございます。ご指摘の3点は、科学カフェが何を目指しているのかという根本的な問題と関わっていますよね。そのうち僕の思うところを書くかもしれません。
駄文だらけのブログですが、今後ともよろしくお願いいたします。
by けけみ (2005-05-07 08:13) 

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