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ノーベル賞におもうことなど [科学と社会]

 今週はノーベル賞ウィークでした。日本人および日本出身者が、合計4人も受賞されたということで、素直に喜びたいと思います。
 基礎研究に光があたったというのはたいへん嬉しいことではありますが、ノーベル賞を取ったから「加速器の誘致を」とか「予算を」という論理はいかがなものかと思います。むしろノーベル賞を取らなければ意義を社会に訴えられない科学研究っていったいなんなんだろうと感じます。ノーベル賞を取った、何十年前の業績だけでなく、いま進んでいる現在進行形の研究にももっと注目してほしいと感じます。小林益川理論だけでは説明ができない謎がまだまだ残っていて、日夜頭をひねっている研究者がたくさんいるのです。GFPに取って代わる、次世代のプローブを作ろうと、さまざまな実験がおこなわれています。
 「受賞よりも、自分の理論が実験で実証されたときの方が嬉しかった」益川先生のこの言葉は、科学者としての正直な気持ちだと思います。
 話は変わりますが、5年ほど前に、戸塚洋二・元高エネ研機構長のご厚意で、つくばのB-ファクトリーを見学させていただいたことがあります。まさに、小林・益川理論の検証実験が行われたところです。そんなこともあり、今回の物理学賞のニュースは、少し身近に感じられました。
 ちなみに、案内してくださった戸塚先生はノーベル賞候補といわれながら、今年7月に亡くなられました。当初は素粒子実験施設だけを見学する予定が、こちらの要望で急遽、放射光を使ったタンパク質の構造解析の研究室や装置まで見せていただきました。僕が、戸塚先生が亡くなられたというニュースを知ったのは、播磨にある放射光施設、スプリング8で徹夜測定を終えた朝でした。そんなこともあっていろいろ考えますね。

・・・ちなみに僕の専門は、素粒子論ではなくって、というか物理ではなくって、化学なんですけれども。
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